
誰も異論のないところから始めます。正しく施工された継手は、どちらの方式でも周囲の管より強くなります。現場で起きる不具合が方式そのものに起因することは、まずありません。原因は汚れ、クランプの芯ずれ、日没に追われて途中で切り上げた冷却時間です。
ですから選択は「どちらの継手が優れているか」ではありません。「自分の現場が実際に施工できるのはどちらか」、そして機械・電源・人工を数えたうえで「一継手あたりいくらかかるか」です。
それぞれが物理的に何をしているか
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バット融着は「挟んで、面を出す」
管端を油圧式の機械に挟み、回転カッターで直角に削り、200〜230 °C のヒータープレートに押し当ててビードが出るまで加熱します。プレートを抜き、規定圧で突き合わせ、その圧力を保ったまま冷却します。
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電気融着は「継手の内側から加熱する」
管端の酸化層をスクレーパーで削り取り、清掃したうえで、内面に電熱線を埋め込んだ継手へ差し込みます。コントロールボックスが継手のバーコードどおりの時間だけ通電し、継手と管を溶かし合わせます。
四つの問い
1. 掘削幅はどれだけあるか
DN315 用のバット融着機には、およそ 2.5 m の有効長と、キャリッジを振れるだけの幅が要ります。畑を横断する開削なら、これはタダで手に入ります。通水中の水道本管と通信管の間にある幅 900 mm のスリットでは不可能で、この時点で答えは出ています。
2. 口径はいくつか
おおむね DN400 を超えると、経済性は大きくバット融着に傾きます。その口径の電気融着ソケットは高価で、融着に必要な電力も跳ね上がるからです。DN63 を下回るとバット融着は手間がかかり、電気融着のほうが速いのが普通です。その中間はどちらでも成立し、残りの問いが決めます。
3. 誰が機械を持つのか
電気融着は判断のぶれに寛容です。ボックスがバーコードを読んでサイクルを制御するからです。その代わり、下ごしらえのミスには容赦がありません。バット融着は逆で、準備は機械任せで失敗しにくい一方、パラメータは作業者が決めます。毎日融着している班ならどちらも上手にこなします。不慣れな班は、電気融着では良い継手を、バット融着では悪い継手をつくります。
4. 一継手あたりいくらか
| 費目 | バット融着 | 電気融着 |
|---|---|---|
| 消耗品 | なし | ソケット |
| 現場に置く機械 | 油圧ユニット、発電機 | コントロールボックス、発電機 |
| 一継手のサイクル時間 | 冷却込みで 20〜30 分 | 冷却込みで 12〜20 分 |
| 作業人数 | 2 名 | 1〜2 名 |
| 一継手あたりの相対コスト | 低い | 高い —— ソケット代が支配的 |
| 逆転する場面 | — | 補修、繋ぎ込み、狭い掘削 |
どちらが明らかに有利か
| 場面 | 方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 長距離の開削導水管 | バット融着 | 一継手あたりの消耗品がなく、機械はどのみち現場にある |
| DN630 以上 | バット融着 | 大口径ソケットは高価で融着に時間がかかる |
| 狭い掘削内での補修 | 電気融着 | バット融着機を振るスペースがない |
| 通水中の本管からの分岐 | 電気融着 | サドル分水栓にバット融着の代替がない |
| 別々のメーカーの管をつなぐ | 電気融着 | 真円度と肉厚のわずかな差を吸収できる |
| 当社工場で組む製作品 | バット融着 | 管理された条件下で、ソケットが不要 |
| 安定した発電機がない | バット融着 | 大口径では電気融着ボックスより消費電流が小さい |

同じ工事で両方を使う
ある程度の規模の工事では、ほとんどがそうしています。本管は地上で長い列に組んでバット融着し、引き込むか吊り下ろす。繋ぎ込み、分岐、そして穴の中で仕上げざるを得ないものは電気融着にする。どちらか一方を選んで最後まで貫く必要はありません。
埋め戻したあとに残すもの
どちらの方式も記録を残せます。電気融着ボックスはバーコード、電圧、通電時間、外気温を記録し、まとめて取り出せます。データロガー付きのバット融着機は、圧力と温度を時間軸で記録します。事業体に引き渡す工事なら、これらのログを契約書に書き込んでください。埋め戻したあとから記録をつくることはできません。
